PBF後処理機を徹底比較!【Formlabs Fuse Blast / DyeMansion Powershot C&X】
- yokoito-sales
- 3月19日
- 読了時間: 7分

PBF後処理の重要性

3Dプリンティング技術の中でも、PBF(パウダーベッドフュージョン)は、高精度かつ強度のあるパーツをサポートなしで造形できるため、複雑なデザインの部品や、最終製品の製造に幅広く活用されています。
しかし、PBFで造形した部品は、未焼結の粉末が表面に付着しているため、そのままでは使用できません。
そのため、適切な後処理(ポストプロセッシング)が不可欠となります。
後処理の目的とは?
PBF後処理には、大きく2つの目的があります。
①パウダー除去(粉落とし)

造形後の部品に付着している未焼結粉末を効率的にじょきょすることで、清潔で均一な表面を確保します。手作業でのパウダー除去は時間がかかる上に、均一性にばらつきが出るため、専用の後処理機を使うことで品質を安定させながら作業効率を向上させることができます。
②表面仕上げ(ブラスト処理)

PBFで造形したパーツは、表面がざらついていることが多く、そのままでは摩擦の増加や機械的特性の低下につながる可能性があります。また、最終製品として使用する場合には、美感や手触りの向上も重要なポイントです。
後処理の品質が仕上がりを左右する

後処理が不十分な場合、その後の工程にも影響を及ぼします。例えば、染色や塗装を行う際、表面が均一でないと色ムラが発生し、仕上がりが悪くなることがあります。
特に、最終製品としての完成度を求める場合、均一なパウダー除去と滑らかな表面仕上げが必須です。
このようにPBFの部品を最適な状態で仕上げるためには、用途に応じた適切な後処理機を選ぶことが重要です。
そこで、本記事ではFormlabsの「Fuse Blast」、DyeMansionの「Powershot C」と「Powershot X」という主要なPBF後処理機3機種を比較し、それぞれの特徴や適した用途を詳しく解説します。
どの機種が自社の用途に最適なのか、ぜひ本記事を参考にしてください。
3機種の概要

PBF後処理を効率化するためには、用途や目的に応じた適切な機械を選定することが重要です。本記事では、代表的なPBF後処理機としてFormlabsの「Fuse Blast」、DyeMansionの「Powershot C」「Powershot X」の3機種を比較します。それぞれの機能と特徴を詳しく見ていきましょう。
①Formlabs Fuse Blast(パウダー除去+自動ブラスト処理)

Fuse Blastは、FormlabsのSLS方式3DプリンターFuse 1+シリーズに最適化された後処理機ですが、他のPBFプリンターの造形物にも対応可能な、汎用性の高い機種です。
主な特徴
✔︎自動ブラスト機能による効率的なパウダー除去と表面処理
・強力なエアブラストと回転機構により、短時間で未焼結粉末を除去できます。
・細かな部分にもエアが届きやすく、手作業では難しい箇所のパウダー除去が可能です。
✔︎シンプルな操作性とコンパクとな設計
・Formlabsの強みである、直感的なインターフェースで、初心者でも簡単に使用できる設定となっています。
・省スペース設計のため、限られた作業スペースにも導入しやすいのが特徴です。
✔︎パウダー除去と軽微な表面仕上げを1台で実現
・メディアを使用することで、造形物の表面を滑らかにする軽微な表面仕上げも可能です。
※※注意点
・大量処理には向かないため、1台での大規模生産に不向きです。
②DyeMansion Powershot C(パウダー除去専用機)

Powershot C は、パウダー除去に特化した高性能な後処理機で、さまざまなPBFプリンターの造形物に対応できます。特に、大量生産向けに設計されており、短時間で複数の造形物を処理できる点が大きな強みです。
主な特徴
✔︎高圧エアブラストによる強力なパウダー除去
・高圧エアを使用して造形物の隙間や細部に入り込んだ粉末を素早く除去します。
・造形物を均一に処理するため、手作業に比べて品質のばらつきが少ないのがメリットです。
✔︎短時間で大量処理が可能
・1回の処理で複数の造形物を一度に処理できるため、生産効率を向上させます。
・量産体制の企業に最適な設計です。
※※注意点
・パウダー除去専用機のため、表面仕上げ機能は御搭載されていません。
・表面仕上げを希望する場合は、別途「Powershot X」などの機器が必要になります。
③DyeMansion Powershot X(パウダー除去+自動ブラスト処理)

Powershot Xは、パウダー除去と表面仕上げの両方を1台で実現できるオールインワン後処理機です。
特に最終製品レベルの仕上がりを求める場合に適した機種であり、PBF造形物の品質向上に大きく貢献します。
主な特徴
✔︎パウダー除去+メディアによる表面仕上げ
・高圧エアブラストを用いた強力なパウダー除去に加え、専用のプラスチックメディアを用いた表面仕上げを実現。
・造形物の表面を滑らかにするため、染色や塗装の仕上がりが向上します。
✔︎短時間で大量処理が可能
・1回の処理で複数の造形物を一度に処理できるため、生産効率を向上させます。
・量産体制の企業に最適な設計です。
✔︎1台で2つの処理が可能なため、ワークフローを効率化
・パウダー除去と表面仕上げの工程を1台で済ませられるため、複数の機械を導入する必要があなく、作業効率が向上します。
・作業時間の短縮とスペースの節約につながるのが大きなメリットです。
※※注意点
・Powershot Cと比べると、パウダー除去と表面仕上げを同時に行うため処理時間が長くなる傾向があります。
目的に応じた最適な選択を

PBF造形物の後処理を最適化するには、用途や生産規模に応じた適切な機器の選定が重要です。今回紹介したFuse Blast、Powershot C、Powershot Xの3機種にはそれぞれ異なる特長があり、求める仕上がりや生産体制に応じて適切な選択肢が変わります。
各機種の比較ポイント別評価と選び方をまとめると、以下のようになります。
一度、後処理の目的を整理し、自分に最適な後処理機を選択してみましょう。
比較ポイント
比較項目 | Fuse Blast | Powershot C | Powershot X |
用途 | パウダー除去 + 軽微な表面仕上げ | 【大量処理】パウダー除去 | 【大量処理】パウダー除去 + 表面仕上げ |
対応機種 | 幅広いPBFプリンターに対応 | 幅広いPBFプリンターに対応 | 幅広いPBFプリンターに対応 |
除去性能 | 高圧エアブラストとメディアで強力な除去 | 高圧エアブラストとメディアで強力な除去 | 高圧エアブラストとメディアで強力な除去 |
表面仕上げ | 専用メディアで均一な表面処理 | なし | 専用メディアで均一な表面処理 |
処理時間 | 約10~15分 | 約10~15分 | 約15~30分 |
操作のしやすさ | シンプルで初心者向け | シンプル操作 | シンプル操作 |
設置スペース | 省スペース | 中型 | 中型 |
価格 | 比較的安価 | 中価格帯 | 中価格帯 |
✔︎Fuse Blastが向いているケース
・コンパクとな後処理機を求めている
・パウダー除去を自動化し、表面処理も行いたい
・FormlabsのFuse 1+を使用している、または手軽に後処理を導入したい
❌大量処理には不向き
✔︎Powershot Cが向いているケース
・短時間で効率的にパウダー除去をおこないたい
・大量生産を前提に複数の造形物を一度に処理したい
・表面仕上げは不要で、粉落としのみを目的としている
❌表面仕上げが必要な場合は、Powershot Xの導入が必要
✔︎Powershot Xが向いているケース
・パウダー除去と表面仕上げの両方を1台で済ませたい
・大量生産を前提に複数の造形物を一度に処理したい
・最終製品レベルのツヤや、染色塗装を行うための均一な表面処理が不可欠
❌パウダー除去専用のPowershot Cに比べて処理時間が長い
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Yokoito Additive Manufacturing Centerでは、Fuse Blastや各種DyeMansionの後処理機はもちろん、様々なAM機器をご覧いただけます。
PBF後処理の選択肢は、単に粉を落とすだけでなく、仕上がりの品質や生産性にも大きく影響します。
どの機種が自社のワークフローに最適か、専門スタッフが最適な機種選びをサポートします。
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