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DyeMansionの後処理技術導入事例〜オートモーティブ編〜

  • yokoito-sales
  • 5月28日
  • 読了時間: 7分


3Dプリンティング技術、特に樹脂を用いたアディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、かつての試作用途から脱し、いまや実用的な生産技術として確実に進化を遂げています。特に自動車業界では、サプライチェーンの柔軟化やパーツ供給の最適化を目的に、最終製品へのAMの本格導入が加速しています。


本記事では、そんな流れを象徴する2つの注目事例をご紹介します。ひとつはDaimler Busesが取り組む、スペアパーツのオンデマンド生産プロジェクト。もうひとつはBMWとPolyline Consortiumによる、完全自動化された3Dプリント生産ラインの構築です。


どちらの事例も、EOSの高性能3DプリンターDyeMansionの後加工技術を活用し、AMによる量産と品質の両立に成功しています。



事例①Daimler Buses

オートモーティブ用スペアパーツ製作事例


Daimler Busesは、約30万点にも及ぶ補修部品の在庫・供給という課題に対し、3Dプリントによるオンデマンド生産体制の構築に乗り出しました。2016年に専門部署を立ち上げ、EOSのSLS方式プリンターとDyeMansionの後加工技術を組み合わせることで、射出成形と遜色ない品質の部品を必要なときに必要な分だけ生産する仕組みを実現しています。



プロジェクトの背景


3Dプリント技術が産業領域に浸透する中、生産性・柔軟性・持続可能性を高めた新たな製造体制の構築が求められています。

Polyline Consortiumは、完全自動化されたレーザー焼結方式(SLS)による生産ラインを開発し、標準化されたインターフェースを通じてシステム非依存のAM(Additive Manufacturing)環境を実現しました。次世代の3Dプリンターに対応しながら、産業用量産におけるAM活用を現実のものとしています。

一方、自動車業界のグローバル企業Daimler Busesでは、2016年に補修部品のオンデマンド生産を目的としたAMプロジェクトを開始。「Center of Competence 3D-printing」が中心となり、Additive Minds、EOS、DyeMansionなどのパートナーと連携し、従来の複雑かつ高コストなサプライチェーンを、柔軟で経済的なオンデマンド体制へ再構築する試みが進められました。



EOS 3Dプリンターの活用


産業用途に特化した3DプリンターEOS P500は、高い信頼性・均質性・再現性を備え、複雑な形状のパーツも高精度で再現可能です。大量生産にも対応しており、AMのスケールアップを可能にする設計が施されています。

また、Grenzebach社のジョブチェンジャーと組み合わせることで、生産効率は最大2倍に向上。さらに、部品1点あたりのコストを最大40%削減することに成功し、従来の射出成形に匹敵する経済性を持つ生産体制が実現しています。


DyeMansion導入理由


3Dプリントで造形されたパーツは、そのままでは色が白く、表面も粗いため、最終製品としては不十分でした。特にDaimler Busesでは、射出成形品と遜色ない外観品質と、企業ブランドに準拠したグレーカラーの再現が求められていました。

この課題を解決するために採用されたのが、DyeMansionのPrint-to-Productワークフローです。これは、清掃・表面処理・染色までを一貫して自動化する後加工ソリューションで、部品の構造やテクスチャを損なうことなく、最終製品品質を実現します。



DyeMansion導入メリット


DyeMansionの後加工プロセスは以下の3ステップで構成されます:

  1. Cleaning(Powershot C)粉末を効率的に除去し、焼け跡や圧痕を防止。

  2. Surfacing(Powershot S / PolyShot Surfacing)マットで光沢のある仕上がりと傷・汚れへの耐性を付与。レザー調などの微細テクスチャも保持。

  3. Coloring(DM60 / DeepDye Coloring)染料が素材内部に浸透し、塗装とは異なり表面構造を保ちつつ再現性の高い着色を実現。RFIDチップにより、すべてのプロセスが記録・追跡可能

さらに、産業用APIによりハードウェアとソフトウェアの統合もスムーズで、他のAM機器との連携や量産環境への導入が容易です。



まとめ


挑戦

  • 複雑・高コストなサプライチェーンの再構築

  • 射出成形品と同等の表面品質・色再現性の確保

  • 生産性と持続可能性の両立


ソリューション

  • EOS P500によるSLS方式の高精度プリント

  • Grenzebachの自動ジョブチェンジャーで効率化

  • DyeMansionによる完全自動後加工ワークフローの導入


結果

  • 出力量は最大2倍に、パーツコストは最大40%削減

  • サプライチェーンの簡略化と持続可能なオンデマンド生産を実現

  • 高品質・高再現性のパーツを短期間で製造可能に


使用3Dプリンター

  • EOS P500(PA2200使用)


使用後処理技術(DyeMansion)

  • Powershot C(クリーニング)

  • Powershot S(表面処理)

  • DM60(染色:DeepDye Coloring)


各種DyeMansionの製品紹介はこちら:https://www.yam-sls-3dprinter.com/dyemansion



事例②BMW

新な生産ラインの構築


BMWは、次世代の製造体制を見据え、3Dプリントと後加工を組み合わせた自動化生産ラインの実装に取り組んでいます。Polyline Consortiumとともに開発したこのラインは、EOS P500とGrenzebachのジョブチェンジャー、そしてDyeMansionの後処理ソリューションを連携させた、完全自動かつシステム非依存のAMワークフロー


最終製品として使用できる高品質パーツを、効率的かつ低コストで量産する仕組みを構築し、従来の製造と肩を並べる次世代のものづくりを実現しています。



プロジェクトの背景


BMWとPolyline Consortiumは、レーザー焼結方式(AM)による完全自動化の生産ラインを開発しました。このプロジェクトの狙いは、次世代の3Dプリンターに対応しつつ、標準化されたインターフェースを用いて、特定のシステムに依存しない柔軟なソリューションを構築することです。設計から後加工までをつなぐ自動化されたプロセスチェーンにより、産業規模での効率的な大量生産と、異なる機器間でのスムーズな連携を実現します。



EOS 3Dプリンターの活用


産業用途に特化して設計されたEOS P500は、高い信頼性、造形の均一性、そして繰り返しの精度に優れた3Dプリンターです。大量生産を前提としたスケーラブルな構造により、AM(Additive Manufacturing)による製造を次のステージへと押し上げます。

さらに、Grenzebach社のジョブチェンジャーと組み合わせることで、生産出力を約2倍に向上させるとともに、1パーツあたりの製造コストを最大40%削減することに成功。AMをより現実的な量産手段として活用できる環境が整いました。



DyeMansion導入理由


DyeMansionは、3Dプリントされた樹脂パーツの清掃・表面処理・着色において、自動化された後加工ソリューションを提供しています。これにより、従来手作業で行われていた後処理工程を効率化し、人的負担を軽減。結果として、生産スピードの向上と製品の一貫した品質確保を実現します。



DyeMansion導入メリット


DyeMansionの後加工ソリューションは、ハードウェアとソフトウェア両面での統合性に優れ、AMの前後工程をシームレスにつなげることが可能です。産業向けAPIを活用することで、工場内の既存システムとも柔軟に連携でき、導入のハードルを大幅に下げることができます。

これにより、品質・スピード・再現性といった大量生産に求められる要素を高いレベルでバランスよく実現し、様々な業界でのAM技術の本格的な実用化を後押ししています。



まとめ


挑戦

  • 自動車業界における従来型生産と競合可能なコスト・スピード・品質を兼ね備えたAM生産ラインの構築

  • 効率的な量産体制を実現するための全工程の自動化他システムとの柔軟な連携


ソリューション

  • Polyline Consortiumによって開発された、次世代対応かつ標準インターフェースを備えた完全自動化AMプロセスチェーンをBMWに導入

  • EOS P500GrenzebachのジョブチェンジャーAGV搬送ロボットによる後処理搬送により、生産~後加工までの全体を自動化

  • DyeMansionの自動化対応後処理技術(清掃・表面処理・染色)を組み込み、ライン全体に統一感のある仕上がりを提供


結果

  • EOS P500の出力を約2倍に向上

  • 1パーツあたりのコストを40%以上削減

  • 後処理の品質・外観も自動化で安定化し、最終製品レベルの部品製造が可能に

  • このラインは今後、他産業への展開も視野に入れて運用可能


使用3Dプリンター

  • EOS P500(SLS方式)


使用後処理技術(DyeMansion)

  • Powershot C(クリーニング)

  • Powershot S(表面処理)

  • DM60(染色:DeepDye Coloring)


各種DyeMansionの製品紹介はこちら:https://www.yam-sls-3dprinter.com/dyemansion







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